キミは聞こえる

 *

 病院に着くと、ナースステーションの前でなにやら深刻な表情で佇む看護士が数名、廊下を半分ほど塞いでいた。
 その中に友香の姿を見つけ、早足で近づく。

「友香ちゃん」
「ああ泉。身体はもういいの」
「うん。これ、荷物ね」

 リュックからごそごそと荷物を取り出して渡す。
 受け取る間、友香は笑ってはいたものの、どこか本当ではないような気がして、泉は友香に尋ねた。

「どうかしたの」
「え、ええまぁ、ちょっと、ね……」

 仕事への口出しはなるべく控えるべきだとは思うのだけれど、元気のない友香など友香ではない。
 友香の視線がちらりと小児科病棟のほうへと向けられた。
 自然、泉もそちらを見る。

「小さい子が言うことをきかないとか?」
「そうじゃないのよ。そうじゃ、ないんだけどね……」
「代谷さん、先に休憩してきてちょうだい。翔(しょう)君のことはひとまず私たちでなんとかやってみるから」
「すみません。じゃあお言葉に甘えてお先に。泉も一緒に行きましょう。ジュースおごってあげる」