キミは聞こえる

 *

 やがて理那の喚きが一段落すると、
『こっちに座って話してみなさい』
 声は出さなくなったがいまだひっくひっくとしゃくり上げる理那に、先生はイスをすすめた。

『あなた、一年四組の二嶋さんでしょう。クラスでなにかあったの?』
『……』
(やっぱり)

 二嶋と呼ばれた少女―――理那はなにも言わない。ベッドにいる泉から表情は見えない。
 しかしさほど間を空けず、はぁっと大きく息を吸い込む音がした。なにか言うのだ、と思ったら、自分のことではないのに、すこしだけ緊張した。

『私は、ただ…頑張っただけ、なのに、それで、なんで……なん………ッ』
 
 理那が鼻をすする。そこからまたしばらく彼女は泣き続けた。もう先生もなにも言わなかった。泣きたいだけ泣けばいい、と半ば諦めていたのだろう。

 頑張っただけ。
 それなのに、なんで。
 なんで。

≪許さない………!≫

 五十貝がいた場所は結果が張り出された掲示板の前。理那の言う"頑張った"も、おそらくテストに関係することだろう。

 成績がすべての栄美女学園だ。部活が基本禁止の学園にとって、頑張ることと言えば勉強しかない。理那も例外ではないはずだ。彼女だって、泉と同じく部活には所属していないし、とりわけ重要な学校行事が間近に迫っているわけでもない。
 燃えるものがないのだから勉強にその分の力を投入するしかないのだ。

 今回のテストで泉がひとつ順位を落としたのはたんに泉の点が下がったことだけでなく、二番の者が一番の者と僅差になるほど一気に点を上げてきたからだった。




 ―――2番 二嶋理那