キミは聞こえる

(五十貝)

 掲示板の前で聞いた声。そうだあれは五十貝の声だ、とそのときになって泉はようやく気づいた。
 五十貝と言えば、祖父、父と二代続けて政治家だという噂で、実家の権威を笠に着て常にやりたい放題、鼻高々に学校中を闊歩し、グループ内でも一目置かれた存在だった。
 
≪許さない……!≫

 五十貝の言った言葉だ。
 もし仮にいま泣いている少女が理那本人だとするならば―――。
 少女の弱音を思い出す。

『もう教室へは戻れない』
「………」

 なにかが、引っかかる。
 それがなんであるかは、わからない。
 けれどどうしても、二人の言葉にはなんらかの繋がりが―――関係性があるような気がしてならず、泉は息を殺して少女が泣き止むのを待った。