(………)
あんた、才能ないんじゃね?
と、写真初心者の泉が言えることではないけれど、どうしてもそう思わずにはいられない構成の写真ばかりがパソコンには収まっていた。
どれもすべてなにかがずれている。
初夏に対する彼女の中のイメージが他人とすこし違うのかも知れない。
なぜ柏餅の隣にストールを置く! そこは普通、鯉のぼりか鎧甲だろう!
なに? お母さんにあげた母の日のプレゼント? ああ、なるほど。―――じゃあないんだよっ!
こどもの日と母の日をごっちゃにするな。
優しい親思いなのは充分伝わったが、初夏イコール母の日ばかりを連想していては周囲の理解をなかなか得られないぞ。
「うーん、なかなか厳しいね代谷さん」
厳しいのではなく、君のセンスがちょっとアレなのである。
「―――ねぇ、写真、撮ってもいい?」
「…………なにを?」
嫌な予感がした。
少女はおもむろにいかついカメラを取り出し電源をONにする。部から借りてきたものである。
それをなぜかレンズが泉を向くように構える。
「もちろん代谷さんだよ。被写体になってって、頼んでるんだけど―――…駄目?」
「………駄目」
「えー、どうして。一枚だけだよ一枚っ」
「写真はあんまり好きじゃないから。人を撮りたいなら撮ってあげるよ」
そう言って代わろうとすると拒むように体を捻られる。「私が代谷さんを撮りたいの」
「……えー……」
「ねぇお願いっ。一枚でいいから」
ぱんっと音がしたかと思い顔を向けると佳乃は合掌して「お願いします!」と泉を拝んでいるところだった。
泉はうなだれた。

