純情BABY

私には胡散臭く見えて仕方がない笑顔だけど、先生にはそうは見えないらしく、
『頼んだぞ』なんて言葉でその場を送り出され、やってきた保健室。




保健室の入り口には、“不在中”の札がドアノブに掛けられていて、扉には鍵もかかっていた。




「どうするの?入れないよ」




『別に本当に具合が悪いわけじゃないからいいだろ』




そりゃそうだけど。




「ねえ、渋谷。何で教室に戻らないで、連れてきたの?」




『アンタが何か言いたそうな顔してたから。
話、あるんだろ?』




保健室のドアにもたれ掛かり、首を傾げながら尋ねる渋谷の顔からは、胡散臭い笑顔も、優等生の仮面も外されていて。




素の渋谷がじっと見つめてくる。




「どうして、みんなの前であんな態度取ったの?

優等生でいるほうが色々と便利だったんじゃないの?

昨日そう言ってたじゃん」