純情BABY

面白半分に見てた生徒たちから散り始めて、夏樹やその友だちも逃げるようにその場を離れてく。




渋谷を慕っている女子たちは名残惜しそうにその場に残っていた。




けれど、通りがかった先生のさっさと教室へ行けという言葉に渋々移動し始める。




『なにボーっと突っ立てるんだ。お前も早く教室へ行けっ。

それとも何かあったのか?やけに人が集まってたが・・・』





いつまでも動かない私を先生は凄むような目つきで見ながら、不思議そうに聞いてきた。




何があったかなんて、事の顛末をどう説明すればいいのか見当も付かない。




ここは知らないフリしてさっさと教室へ逃げたほうが良さそう。




そう思って、先生の問いかけには何でもないと答えて移動しようとしたときだった。




側にいた渋谷が私の腕をぐっと強く掴んできたのは。





『先生、この子具合が悪そうなんです。さっき倒れかけて、それで野次馬が出来たんです。

まだ1人では歩けなさそうなので、心配だし保健室へ連れて行きます』





渋谷の言葉にぎょっとして、思わず大声が出そうになったけど、それをどうにか飲み込む。




倒れそうだったって誰が?
心配って?



見上げた先には、さっきよりも一段と仮面を被った笑顔120%の渋谷。




うわ〜胡散臭っ!!