純情BABY

夏樹の言葉に渋谷は表情を変えずにさらりと聞き返す。



『じゃあ、聞くけど。アンタはどうしてデタラメだと決め付ける?ヤろうとしたとき、激しく抵抗したろ?その態度を思い出してみろよ』




その問いかけに夏樹は口をつぐんだ。






『俺は“私はヴァージンだ”って言ったときの言葉と、抵抗したときの態度でそれが嘘じゃないって思った』




渋谷の言葉を黙って聞く夏樹、周りのみんな。そして私。





『詳しく聞いてみたら、噂や見た目とは違って、今どき珍しいくらい純情なヤツだとも思った』




私も渋谷の言葉に聞き入っていた。




『だから俺は、コイツの汚名を晴らしてやりたくなった。誰にも侮辱させたくないって思った。

最初は噂目当てで付き合うことにしたけどーー・・・』




一旦言葉を区切って、私を見据える。
その瞳の強さに、胸が痛いほどにドクンドクンって音立てた。