純情BABY

飛び交う罵声の中で、他でもない渋谷が庇ってくれた。

それがどうしようもないくらい嬉しくて、こんな状況なのに頬が緩みかけた。




だけど、それをぶち壊すような罵声が、またすぐに始まる。



『ていうかさ、渋谷も益田がすぐヤらせてくれるから付き合ったんじゃねーの?』




ニヤニヤといやらしい笑みを浮かべながら誰かが言った。





『アンタ達と渋谷くんを一緒にしないでよ汚らわしい!!』
『そうだよ!』




いち早く反論したのは私、
ではなく、渋谷のファンの女子たち。




私は反論しなかった。
というより出来なかった。



私が言うより早く女子たちが反論したからだ。




渋谷に告ったあの日、私は押し倒されてヤられかけたのは間違いじゃない、本当の事だ。




一瞬それが頭をよぎったせいで先を越されてしまった。




『そうだよ。噂を耳にしてて、簡単にヤれるって思って付き合うことにしたんだよ』





口を挟めずに成り行きを見ていることしか出来ないでいると、近くにいた渋谷が、さも当たり前と言わんばかりの口調で言った。