純情BABY

『じゃあどう思ってるっていうのよ』




「…わかんない」




呆れてるのか怒ってるのか、見限ったのか。




それがわかるならこんなに悩まない。





『わかんないって、益田さん、あなた…』
「ねぇ、渋谷の事なんでもいいから教えて!」




ケンカ腰の子の腕を、掴んでお願いした私を、その場にいた全員が唖然とした顔で、私を見てきた。





『はぁ?何言ってるのよ』



「どんな些細なことでもいいの。渋谷のことなんでもいいから教えて!」




『なんで私たちがそんなこと教えなきゃいけないのよ。ってか腕、離してよ』





腕を振って振りほどこうとするから、こっちも抵抗してしがみついた。




「昨日、頼ってもいいって言ってくれたじゃん!」




『そ、それはその場の勢いで…』
「お願い!私、渋谷の彼女だけど彼女じゃなくて、でもちゃんと彼女になりたいからどんなことでも知りたいの!」

『何意味不明なこと言ってるのよ!は、離してってばっ』





なんでもいいの。
渋谷に関することなら、どんな小さなことでもいいから知りたい。



それで、渋谷をちょっとでも理解できるなら。




今より1歩でも渋谷に近づけるなら。