純情BABY

その瞬間、周りから悲鳴のような声が次々とあがる。



そして刺すようなキツい視線の数々。




傍目から見たら、私の首に腕を回して抱き締めてるように見えるんだと思う。





思うけど。違うんだよ?





だって




『動くなよ?下手に動いたり口を開いたりしたら、このまま頸動脈絞めあげるぞ』





私にしか聞こえない位の小声で言ってきたんだ。




冗談でしょ?と思った矢先、回してた腕に力を入れられ、途端に息苦しくなる。



言う事聞かなきゃ本気で首絞められる!




これってもう脅しだよ、脅し!!




だから決して抱き締められてる訳ではないんだからそんな恐い顔で睨まないでよーっ!





『益田さんに急ぎの大事な話があるんだ。申し訳ないんだけどちょっと借りてくね』





首を腕で絞められつつ見上げてみると、ニッコリと極上のスマイルを炸裂してた。





今さっき私を脅した人物と同じ人とは到底思えない。


この男、絶対、間違いなく腹黒い!!




みんなその顔に騙されないで!と言いたいけれど、そんな事したら私の命が危なくなる。




私は抵抗も出来ないまま空き教室から連れ出された。