同じ頃、同じニュースを拓哉は見ていた。



「少しは心の傷が癒されたらいいな……」
「そんな簡単には癒されないわよ」
「わかってる」






拓哉の家には健一と千弥がいた。





わかっている。簡単には癒されないことも忘れることができないことも。

でも……。何もできないのは嫌で仕方なかった。







拓哉はどうしてこの事件が気になるのかわからなかった。それでも、自分の学校の生徒が被害者の一人だからなのだと思うことにした。