【短】隣のお兄ちゃんと私

言葉で言ってもふくれっつらは治らないようだな…


奈美の様子からそう考えた俺は、実力行使に出ることにした。



「わわっ!」



急に俺に抱えあげられた奈美は、よほどびっくりしたのかあまり色気のない声を出す。


ぽすんっと膝の上に奈美をのせ、ぎゅっと抱き締めれば途端に耳が真っ赤になるのが見えた。


いつまでたっても、こんな風に新鮮な対応をする奈美に対して、胸の奧がぎゅっとうずくように愛しさを感じる。



「…もう怒ってないの?」


そうぽつりと呟く奈美を更に強く抱き締める。



「もうとっくり怒ってなんかなかった」



その言葉にぎょっとしたように上を向いた奈美は、思った以上に顔が近かったことに一瞬たじろいだような表情をしつつも、俺の言葉の意味が気になったようで、「どういうこと?」と首を傾げつつ聞いてくる。