【短】隣のお兄ちゃんと私

せっかく聞きたかった言葉を聞けたのに。


俺は我慢できなかった。



「あっははははは。お…お前…『おおおおお兄ちゃん』って、どもりすぎだろ!」


こんなに笑ったのは久しぶりだった。


だが笑ったことが気に障った奈美は、俺の腕から逃げようとする。


逃がすわけもないのに。


俺は再び腕の中に、今度は横抱きにして閉じ込めた。この方が奈美の顔もよく見える。


そして、俺は恥ずかしいかったが自分が家庭教師になった経緯を話した。



「お兄ちゃん…私のことどう思ってる?」



奈美は、俺の話を聞いて俺の気持ちに確信を抱いたのか、こんな風に聞いてきた。


答えは決まっているのに。


その唇にキスを落としながら、俺はそれを伝えた。