【短】隣のお兄ちゃんと私

腕の中にいる奈美の気持ちは、手に取るように分かった。


てんぱっている。それに尽きた。


だが、このときを逃す手はない。少し可哀想だったが、俺は攻めの一手をうつことにした。



「なあ、奈美」

「は、はいーーー?」



明らかに動揺しているその返事にほくそえみつつ



「なんで、俺と急に会わなくなったんだ?」



質問を投げかける。義人から話は聞いていたけど、奈美の口からはっきり聞きたかった。そうでなければ、俺たちは一歩を踏み出すことができない。


俺の気持ちを言っていないのに奈美だけに言わせるのはズルイかとも思ったが、避けられていた分慎重になってしまうのも確かだった。


しかし奈美はしらをきろうとした。この期に及んでもまだ自分の気持ちを言おうとしない奈美を、絶対逃がしてたまるものかとさらにぎゅっと抱きしめた。