【短】隣のお兄ちゃんと私

ふ〜


ゆっくり息を吐き、緊張をやり過ごそうとするが、うまくいかない。


玄関から出て、一歩、二歩、三歩…


あっという間に奈美のいる家の前についてしまう。


こんなに緊張したのはいつぶりか。自分のことではあまり緊張したことのない俺だから、こんなに自分が緊張する人間だとは思わなかった。


これも、奈美が関わっているからか…


あまり時間を置いても緊張はどこへも行ってくれそうになかったので、意を決して目の前にあるインターホンをおした。



ーーピンポーン



俺の気も知らないで、軽快な音をだしやがって。


少し的外れな八つ当たりだったが、そうでも思っていないとどうにかなってしまいそうだった。



「は〜い」



久しぶりに聞いたその声は、昔より少し落ち着いた、それでも透き通ったところは全く変らない、奈美の声だった。