【短】隣のお兄ちゃんと私

「俺さ…兄ちゃんと奈美がずっとおかしかったの気づいてた」


まあ、そうだろうな。
義人の言葉を聞き、納得する。以前はあんなに行き来していたのがパタリとやめば、誰だっておかしいと思う。ましてや、義人は俺の弟で、奈美の幼馴染でもある。



「でも、俺、なんにもできなかった。間に入れるのは俺だけだったのに、どうしていいか分からなかったんだ。だけど、そうこうしてる内に、兄ちゃんはあんまり家にも寄り付かなくなったし…」


俺はあらためて、申し訳なく思った。義人が心配しないはずもなかったのに、自分の感情から逃げることだけを優先してしまった。


突然、それまで静かに話していた義人が立ち上がり、部屋の中をうろうろしだした。



「それで、俺、兄ちゃんも落ち着いてきたことだし、そろそろ奈美との関係も修復できればと思って、この前奈美に話に行ってきたんだ」



そういいつつ、ちらっとこちらを見るまなざしには、若干の後ろめたさが含まれていた。