【短】隣のお兄ちゃんと私

「…兄ちゃんてさ…」


「ん?」


言いにくそうにしている義人に、続きを促してやる。

「…奈美のことどう思ってんの?」



…正直、そんな話を振られると思ってなかった俺は、とっさに答えることができなかった。


弟相手に愛だの恋だのといったことを話したこともなかったし、気まづくもあったから、ごまかそうかと思った。


だけど、真剣な目をして俺を見てくる義人に、気づけば自然と言葉が出ていた。


「…奈美は、俺にとって大切な存在だ」



だが、その言葉では物足りなかったのか、不満げに聞き返してくる。



「それは、女として好きってこと?」



「まあ…そうだ」



肯定するにはかなり抵抗があったが、答えた後の義人のほっとした顔を見て、義人の欲しかった答えだったのだとわかった。