【短】隣のお兄ちゃんと私

距離が離れてしまった状態では、どうしようもなかった。


奈美を忘れようと、他の女と付き合ってみたりもしたが、結局うまくいかなかった。


奈美と違うところばかりが目についたし、相手もそんな俺に嫌気がさしたのが多くの場合の原因だった。


とうとう俺は降参した。


どうやったって、奈美を俺の中から消し去ることはできないんだと。


そう悟ったとき、俺はなんだかすっきりしたような気分だった。


消化不良が治ったような。


前にも増して奈美への気持ちは強くなった気はするが、それでも、はっきりと自分で自分の気持ちを受け入れてやれるということは、俺に劇的な変化をもたらした。



それまでの怠惰な生活を改めて、勉強や運動、バイトなど、やれることは一生懸命やった。


なにより奈美に顔を会わせられないような人間でいたくなかったから。


たとえ、奈美から顔を会わせてもらえなかったとしても。