母が居た頃も、母は朝早くから夜遅くまで働いていたため、 アユが朝起きると誰も居ないし、 学校から帰って来ても誰も居ない。 もちろん寝るときも。 会えるのは月に2・3回程度だった。 そんな苦しい家庭の中母はいつもアユのわがままを聞いてくれた。 アユが転校したいと言えば、文句1つ言わずにすぐ手続きを済ませてくれた。 母はアユのたった1つの心の支えだった。 その母が死んでしまった時は絶望だった。 悲しみを忘れたはずのアユの目からは −−−…涙が溢れ出した。