しばらく間があった後、
「理由はわからんが、なんらかの防弾措置のようだな。仕方ない。なにかドアをこじ開けるのに使えそうな物がないか、探してくる」
「あ、おい! ちょっと待て!」
 制止の声が聞こえなかったのか、ディルクはどこかへ立ち去っちまったようだ。
「おい! 待てってのに! 行くな! てか頼む! 行かないで! こんなトコに置いてかれるのやだー!!」
 オペ室の中心で救助を叫ぶが、もはや誰も聞いちゃいねえ。あかりは相変わらず、俺の膝の上で白目むいてやがる。
 なんでこんなことになっちまったんだか……。ホントなら今ごろホテルの部屋でシャワー浴びて、モヒートの1杯も飲んで、上等なベッドでぐっすり眠ってたはずなのによ……
 
 ことの始まりは、数時間前にさかのぼる――