「あ、ああ……。で、引き受けてくれるか?」
「そうだな。俺は別に構わねえと思うが……。ディルクは?」
「僕も構わないぞ」
「オッケー。んじゃ、引き受けるぜ」
 あかりの意見は聞いてねえが、そもそもどうでも良い。今は食い物に夢中になってるし。
「おお、そうか。助かるわい。じゃあ早速今夜から頼む」
「今夜から? 明日からじゃダメなのか?」
「わしゃ老い先短い老人じゃ。明日の朝には死んどるかもしれん。1分1秒でも早い方が良いんじゃ」
 全然老い先短そうには見えねえが。
「つっても、もう夜中になるぜ?」
 ちらりと腕時計に視線を落とす。
「そう言わんと。今夜中に駆逐してきてくれ。1匹残らず。100,000ドル欲しいんじゃろ?」
「いやどこの調査兵団だよ……。ま、いっか。おい、あかり。とっとと食え。話まとまったから行くぞ」
「ほえ? もう?」
「クライアント様のご要望だ。今すぐ全部食え」
「いや、さすがにそこまで慌てんでも――」
「しょーがないなー。もっと味わいたかったのに。もがもが」
 ホントに全部一気に飲み込んだ。
「おお! 東洋の神秘じゃ!」
「じゃ。ちょっくら行って、片づけてくるからよ。金用意して待っててくれ」
「うむ、わかった。小切手で構わんか?」
「あんたを信用してねえわけじゃねえが、戻ってきたらその場で送金してくれ。それと、ドルじゃなくて円で」
「お前さん、やはりこの手の仕事に慣れとるな。わかった、準備しておく」
「おう。頼むぜ」

 こうして俺たちは、くだんの病院へと向かうことになった――