答えは出た。いけるはずだ。そんなわけで俺は、また人差し指でテーブルを2回トントンと叩いた。
 野次馬どもがごくりと唾を飲む。ディーラーはにこりと笑みを浮かべて、シューターからカードを引いた。
 配られたカードは――ダイヤの5だった。合計21。野次馬どもが感嘆の声を上げ、口笛を吹く。
 これで逆にディーラーは一気にやりにくくなった。21を作らない限り、俺の勝ちになる。簡単に説明しとくと、ディーラーは手持ちのカードの合計が17を超えるまではヒットし続けなきゃならねえ。もっと言うと、17を超えちまったらもうヒットはできねえ。強制的にスタンドだ。
 ディーラーが伏せていたカードをオープンする。クラブの2。合計13。17に届いてないので、カードをヒット。スペードの9。エースを11扱いにすると22でバストしちまうから、1扱いにして12。まだ17に届かねえから、もう一度ヒット。クラブの4。合計16。最悪だ。さらにヒット。スペードのジャック。26で見事にバスト。俺は野次馬に拍手されながら、チップを受け取った。
 
 チップを全部換金してから、俺はバフェィに入った。中であかりが待ってるからだ。どのホテルのバフェィもいつもえらい行列ができてるもんで、実際今も1時間待ちの状態なんだが、俺達はスロットクラブのパスを持ってるんで並ばずに入れる。
 食い物屋であかりを見つけるのは簡単だ。だいたいテーブルに皿の山を積み重ねてるか、周りに見物人が集まってる。今回も普段の例にもれず、皿の山を積み重ねた上で見物人に取り囲まれていた。
「よお」
「うぇーい」
 右手に持った骨付きラムチョップを食いちぎりながら、左手を上げて挨拶してくる。食った量だの食い方だのにいちいちツッコんでたら疲れるだけなので、最近は気にしないことにしている。
「ディルクはどこ行った?」
 いつものミントを2粒ぱくり。