「ねぇ?
金木犀の花って見た事ある?」


僕は一瞬考えた。


「いや、ない。ないと思う。」


「そっか…。」



そりゃそうだろう?
『キンモクセイ』なんて花の名前だって
今日 初めて聞いたんだから。


「いい匂いだから、どんなお花か知りたかったの。」


紛れもなく、それは事実で。

彼女は本当に知りたかったんだろう。