しかし
それを止めたのは
意外な人物だった。


「え?」

兄貴の蹴りが来ない。

俺は上を見上げると、
目を見開いた。


「オカァ……」
「やめなさい、今すぐに!」


母が説得すると、
兄貴は足を止めた。


「これはなんとかなるから。
だから心配しないで」


まさか自分で解決させる気?

そんなに腫れているのに?


「大丈夫。ちょっと休めば……」


ドクン!

俺の心臓が激しく波打った。

弱々しい母の顔に兄貴が寄り添う。

そうだ……俺は
この光景を知っている。

あの時と同じなんだ。
一番上の兄貴と――