雨に恋した華

「王子様、いる?」


こっそり訊いて来た千晶は、また彼の事を『王子様』って呼んでいたけど…


その事には触れずに、首を小さく横に振った。


「まだ来てないみたい……」


もう一度店内を見回してから声を潜めて答えたのと同時に、店のドアがゆっくりと開いた。


「いらっしゃいませ」


笑顔で言った女性店員の視線の先には、彼がいた。


「来たっ……!」


彼に気付いたあたしは、叫び出しそうになるのを必死に堪えて、小声で言った。