雨に恋した華

屋上から一階までの階段を一気に駆け降りて、廊下を見渡した。


浴衣や髪が乱れていた事にも気付かないくらい必死になって、肩で息をしながら虹ちゃんを探した。


胸の奥が苦しいのは、全力で走っているからでも、体を締め付ける帯のせいなんかでも無くて…


きっと、何も言わずに立ち去った虹ちゃんとの間に、距離を感じてしまったから…。


「……虹ちゃんっ!!」


不安に包まれていたあたしは、下駄箱の近くで虹ちゃんの姿を見付けた瞬間、思わず大声で彼の事を呼んでいた。