雨に恋した華

健一の胸元を掴んでいた虹ちゃんが、スッと手を離してゆっくりと振り返った。


恐怖心に包まれたあたしは、硬直した体を動かす事も言葉を発する事も出来ない。


「紫、これ……」


虹ちゃんはあたしの手にミルクティーの缶をそっと持たせると、何事も無かったかのように歩き出した。


「待ってっ……!虹ちゃんっ!!お願いっ!!」


やっとの事で、虹ちゃんを呼ぶ事が出来たのに…


あたしの声が聞こえているハズの彼は、立ち止まる事もせずに屋上を後にした。