雨に恋した華

「……それだけ?」


そう訊きながら近付いて来た虹ちゃんには、もう怒りの色しか見えない。


いつもの優しい表情や穏やかな口調は、すっかりどこかに消えてしまっていて…


ただ、恐かった。


「他にも何かしてたよな?」


顔を歪めたままの虹ちゃんは、あたしのすぐ後ろにいる健一の胸元を掴んだ。


虹ちゃんを目で追っていたあたしは、反射的に彼の腕を掴んだ。


「虹ちゃん、やめてっ!!」


その瞬間、強く振り払われたあたしの手が宙を舞った。