雨に恋した華

「……っ!虹、ちゃん……」


ドアの前に立っていた虹ちゃんは、呟くように言ったあたしの事なんか全く見ていなかった。


彼と健一は、黙ったままお互いを睨み合っている。


この時初めて、あたしが唇を擦る事に一生懸命だった時から、二人が睨み合っていたんだと気付いた。


ただならぬ空気が、寂れた屋上を支配するように流れている。


虹ちゃんに、健一との事を見られたんだと理解した途端…


全身が恐怖心に包み込まれて、一気に力が抜けていくのを感じた。