雨に恋した華

たった数秒間の出来事が、あたしの頭の中を支配する。


黙ったままの健一に視線を送ろうともせず、ひたすら唇を擦った。


この時のあたしは、自分の唇に残った感触を消し去る事だけで精一杯で、まだ気付いていなかったんだ。


ついさっき、屋上のドアが開く音がしたと言う事を…。


しばらくしてその事を思い出し、他の事を考えるよりも先に振り返った。


だって…


とてつもなく嫌な予感がしたから…。


あたしの嫌な予感は、やっぱり的中していた。