「それから?」


千晶は、どこか楽しげな声であたしを促した。


だけど…


あたしは、金平糖の小ビンを持ったまま戸惑っていた。


健一は、千晶の好きな人。


しかも、彼女は自分の誕生日の時、彼からはプレゼントを貰っていなかったハズ。


こんな小さなビンに入った金平糖だって、自分の好きな人が他の女の子にあげた事を知ったら…。


色々な事が頭を過ぎった後…


「ううん、何でもないよ……」


気付けば、そう言ってしまっていた。