「気をつけてね」


虹希さんの言葉に、小さく頷く。


『また、会ってくれませんか?』


訊きたいけど訊けない言葉が、喉元で突っ掛かったまま声にならない。


「じゃあ……。俺、行くから」


「あのっ……!」


「ん?どうした?」


踵を返して歩き出そうとしていた虹希さんを呼び止めると、彼は振り返って優しく訊いた。


「あの……」


ほんの少しの勇気。


それさえあれば、あたしの気持ちを伝えられるハズなのに…。