履歴書用に照明写真を撮る。

思った以上に仕上がりが悪く色調整ぐらい普通するだろうと文句でもいようと思ったが

「こいつも時間で働いているだけだろう、経営者は売上げしか見てないんだ。だからこんなものを平気でお客に商品としてわたせるのだ。」

憤慨より諦めるのがはやく言葉を飲み込んで、
「これもいい写真だ。」と思い込むようにして写真になった自分の顔を長く見つめた。

人ごみのなか、無心にしてショウウインドウに吸い込まれ、お構いなしにぶつかり合う混交した商店街。
流れに逆らい首だけは左右をキョロキョロしてモノに食われた人間がたいそう僕には厄介だ。

僕の性格からしてだが・・・。

「気持ちが乱れて汚くなった。」

灰色に傾いた気持ちはもっと汚れるものだ。

自分から、壊すかのように泥のなかに入り込んでいく。

消えたい衝動、このまま混沌とした世界に身をなげて引き裂かれて犠牲にもなりたい衝動。その衝動はうせぬままパチンコ屋の椅子に座っている。
携帯電話を確認しても着信もメールもない。

そして気持ちとは裏腹に負けるのだ。
金がなくなるが、自分にかける希望は一向に折れない。
希望は凄いものだ、まだこの351番か368番の台に大当たりが出ると信じている。
現実には、財布から三千円が消える。

頭のなかには確変6連チャン。

財布のなかには、四千九百五十円マイナス缶コーヒー代。
現実には金がない。
すぐに金を作れる手段もない。

「コマンド+Zが効かない硬直した絶壁の現実。何よりも動かしがたい。」

僕は夢のなかから覚めたように血が冷たくなって全身を巡る。