しかし…


ーーコンコン


まさにシリウスが戸に手をかけようとしたその時、目の前の戸が叩かれた。



「はい」



すばやく戸から離れ返事をしたシリウスの目の前に立ったのは、赤い髪をした兵士らしき男だった。



「昼食の準備ができましたので、よかったら食堂へおこしください」



男はそれだけ伝えると一礼して部屋を出ていった。


部屋を出ていくタイミングを失ったシリウスだったが、朝からほとんど何も食べていない状態であったのも確かだった。


しかたなく、「マリー、食べに行くか」と問えば、



「はいっ!」



と元気のいい返事が帰ってきた。こちらも腹を空かせていたのだろう。マリーは嬉々としてシリウスと共に食堂へむかったのだった。