「街まではこの道をずっといけば着きますので」


マリーとシリウスを送ってくれた兵のなかでは年輩な男が指で示しつつ教えてくれる。

戦となっている所を避けたのだろう…マリーには、今まさにどこかで兵士たちが戦っているとは信じられないほどのどかな光景だった。


「案内感謝する」


シリウスはそう言うと、再びマリーの後ろへひらりとまたがり、馬の胴へ一蹴りして街への道をすすみはじめた。


マリーは今更になって助けてくれた彼らへとなんの礼も言ってないことに気づいた。


シリウスの腕の中からそっと後ろを振り返れば、まだ皆が見送ってくれていた。

マリーはそっと頭を下げた。

彼らにそれが見えたかは分からなかったが、とりあえず気は済んだ。


再び前を向いたマリーは、軽く馬に揺られながら、自分がシリウスに聞かなければならないことを考えはじめた。