あと少し…


シリウスの眼前に、森が途切れ、光が射すところが見えたとき。



ーーーキーン!




剣と剣を交える音が、突如マリーの耳に入ってきた。

それまで、馬の背にへばりついていたマリーであったが、その背を覆うシリウスの温もりが消えたことに気づく。



はっとして後ろを見れば、いつの間にか5、6人の兵士に囲まれており、シリウスはその内の一人と剣を交えていた。


相手の男は、鼻の辺りまで覆われた黒い兜をかぶり、黒いマントを翻している。

見るものが見れば、帝国軍の少なくとも一兵士ではないことが明らかだった。



マリーには何が起こっているのか分からなかったが、お師匠様が逃げてきたものに追いつかれたことだけは理解できた。



馬の足も止まる絶体絶命のなか、シリウスが剣を交える相手が、シリウスと剣を押さえ合ったまま喋りはじめた。