「北岡さん、俺ココ一人で行ってきますよ」

「あ?おぉ、まーあと書類だけだしな。ヘマすんなよ」

「…はッ(鼻で笑う)」

おーおー…
コイツじゃなきゃドツき上げてっけど、この態度にも慣れたぜ

「あ、で俺直帰しますんで」

出て行き際に、ついでのように言った三浦の首根っこを捕まえる

「直帰、っておまえ。今何時だと思ってんだ?今日半休か?」

ち、って実際舌打ちしそうなしかめっ面で、悪びれもせず三浦がやりかえす

「午後はもう一件見込みんとこ寄ります。書類持ち帰りでチェックして明日で大丈夫でしょ」

他の奴なら騙される、間髪入れない完璧な嘘に、俺の口角が上がるのが自分でも分かる

「おっまえなー、いい加減俺に嘘つくのヤメロ。無駄だから。ーーーで?午後からサボって何すんだ?」

「…チっ」

今度こそ、ホントに舌打ちしやがった


どーせまたデートだろーよ。
不特定多数と、マメなヤツめ

「なんで嘘ってわかんですか。アンタぐらいですよ、そんなん言うの」

「上司にアンタはねぇだろ。言うかよ、嘘見抜けなくなんだろーがよ」

「…半休で」

「上に通せ」

「!アンタでいいじゃんか!」

…困った坊ちゃんだな、マジで

「…んじゃー、ソコの書類ストレートでいけたら目ぇつぶっててやるよ」

俺も甘いなぁ、つくづく