(…あぁ、) 違う違う、そんな大それた事を考えるためにここに来たんじゃない。 私は溜め息を吐くと、目の前で大輪を惜しげもなく曝す山茶花の根元に腰をおろした。 かさりと懐かしい草の感触。鼻腔を擽る、山茶花の控えめな香り。 見上げれば、静かな午後の空。 宙を血管のように這う欅の枝は、肌が美しい。 遠くでモズが鳴いている。 駅前の公園だというのに、余計なノイズは一切遮断された空間。