カードを、胸のポケットにしまった。ルナにもらったのもそこにある。

 それから、魔法書をパンツの後ろポケットにねじ込んだ。

「気をつけて」

 その言葉に、オレはいつまでもここにいるわけに行かないことに気付かされた。

 そうだ。オレは行かなくちゃいけないんだ。

 何となく、これから魔界を彷徨う羽目になるのは他人事のように思っていた。

「いろいろ、ありがと」

 シュロスの頬が光のせいじゃなく、赤く染まった。

「あなたが探している堕天使は、この森を抜けたところにいるわ。そこには低級魔族がいるわ。この森にいる連中の、一ランク上の魔族ね。それに、こっちはあなたに手出しをしないと思うけれど、上級魔族もいる。怒らせないように気をつけて」

 オレは扉の前まで進んで振り返った。

 寂しそうな目が、オレに絡み付いてきた。

「じゃあね」

 シュロスは力なく手を振った。

 行くぞ。

 オレは気合を入れて、ドアを押した。