が、その先生は体格も顔も確かにゴリラっぽいのだが、見た目のわりに優しく、顔だ
って、よく見ると男らしい男前なので、みんなは親しみを込めて『ゴリさん』と呼ん
でいる。
 
そしてここにもう一人、ゴリラのような様相の人間がいる。

体もいかつい。

ゴリラその二。

ゴリラパートツー。

だから、ゴリツーだ。

ただし、こっちの方は親しみも、愛嬌も込められてはいない。

思いっきり悪意を込めて、気持ち悪さを託して、『ゴリツー』と呼ばれているのだ。

オレは何とか痛みが去るのを待って、なるべく素早く起き上がった。

これ以上誰にも、この姿を見られたくなかった。

けれど、歩くと、臀部の痛みが脳天に直激する。

頭を押さえながら歩いていると、何か気持ち悪い感触が唇を滑った。

何だ?

無意識に手でぬぐうと、手に血がついた

血が出てる。

オレは、トイレに入って鏡を覗き込んだ。

いつもは手を洗うだけで、決してじっくり見たりはしない鏡を、覗き込む。