恋口の切りかた

「円士郎様は、あの女性の身元については知った上で交友関係を?」

「いや……武家の出だってことくらいしか知らねえが」

やはり、と宗助は小さく呟いて、

「ならば後々のためにも、お耳に入れておいたほうがいいと思ってな」

そんな気になる言い方をした。

「どちらの報告から聞きたい?」

「そう言われたら、鳥英のほうが気になるだろうが。彼女が何だってんだ」

俺は能面のような無表情を睨んだ。

「勝手にご友人について調べたこと、お怒りならばご容赦を」

宗助はそんな前置きをして──



俺の知らなかった鳥英と俺たちとの因縁について語った。



「彼女の本名は亜鳥。雨宮家の息女だ」



雨宮──



聞き覚えのある家名だった。


「おい、雨宮ってまさか──」


一瞬で、喉が干上がる。


「まさか──五年前に失脚した……」


俺と留玖も関わり、留玖が堀口青年を斬り殺したあの夜の──


「そうだ。五年前にこの国を揺るがした、城代家老の伊羽様の闇討ちで黒幕とされた仕置き家老、今は亡き雨宮様の実の娘だ」