恋口の切りかた

それにしても、もしも肝試しの順番が一つでも違っていて、神崎や隼人と出会わず、鬼之介が後からやってきてくれなかったら──


私はぞっとした。


──円士郎は命を落としていたかもしれないのだ。


数々の偶然の積み重なりが、円士郎を守ってくれた。


まあ、そもそも肝試しなんて初めからしなければこんな目に遭うこともなかった気はするけれど。

私はビショビショの円士郎の袖をぎゅっと握った。

「エン、無事で良かったよ……」

「おう」

円士郎は少し気まずそうに頷いて、大きなクシャミを一つした。


「む? これは──仕掛け人形を、近くで誰かが操れるようになっているな」

提灯で照らしながら人形を調べていた鬼之介は、そんなことを言った。

「近くで!?」

神崎と隼人、円士郎がさっと身構えて──


「くそっ! やられた!」


鬼之介が焦った声で怒鳴って、狐の屋台の真後ろにあった商家の壁を



足で蹴った。



がたん、と音がして

商家の壁が、扉のように四角くくり抜かれて奥に倒れ、穴が空いた。



「このからくりで屋台が消える予定だったのか。
芝居の強盗返(がんどうがえし)と同じ──これはどんでん返しの仕組みだ!」


え……?


私は壁にぽっかりと空いた黒い穴を見つめて、


「つまり、人形を操り、ボクらの会話を聞いていた奴がここに潜んでいたということだ!」


鬼之介がわめいた。