恋口の切りかた

「ったく、場慣れしているかと思えば、ああいう場面での瞬時の判断力はまだ子供か。秋山殿と鬼女──じゃなかった、そこの与力殿がいてくれて良かったな」

鬼之介は肩をすくめてそうこぼし、

「二人はよくボクの言葉を信じてくれたな」

感心したように言った。


「ま、俺はお前が焼死事件のからくりの解明に当たってるって聞いてたからな」

水を滴らせている円士郎を見て苦笑して、隼人は刀を鞘に納めた。

「上役殿の命が助かったのなら何よりだ」


「この者がからくりの解明に当たっていただと?」

一方の与力は、精悍な顔をしかめた。

「そんな話、俺は聞かされておらんぞ。貴様ら……つくづく勝手な真似を……──!」

それから、木刀を握ったまま神崎は鼻を鳴らし、

「ふん、あの場面では、この者があまりにただならぬ口振りだったのでな。
どんなに腹立たしい相手でも、結城家の嫡男に目の前で何かあっては切腹ものだと思い、行動したまで」


私も円士郎も混乱するだけだったあの刹那に、即座に動いてみせた彼らに対し、私の胸には驚きと感謝の思いが広がる。


「エンを助けて下さって、本当にありがとうございました」


私も二人にぺこりと頭を下げた。


やっぱり年長の人たちはいざというとき頼りになるなあ、と思って

私も円士郎もまだまだ修行不足だと反省した。