恋口の切りかた

私も何がなんだかわからなくて、鬼之介と円士郎を見比べて、

「どういうことだ?」

やっぱり怪訝そうに首を捻って立ち尽くしている円士郎に、


隼人が走り寄って、有無を言わせず素早く足払いをかけた。


不意を突かれてよろめいた円士郎を、

同時に走り寄っていた神崎帯刀が、思いきり川に向かって蹴り飛ばす。


「うおおっ!?」


体勢を崩したところで神崎の体躯に当て身を食らい、円士郎が道からドボンと川に落ちた。


「何しやがる!」

真っ黒な水面から顔を出して円士郎が文句を言って、

「狐に手を置かれた場所に触らないようにして、水の中で着物を脱げ!」

「なに……?」

「いいから言うとおりにしろ!」

鬼之介がわめいた。


その前ではふうっと灯火が消えて、

「屋台が──!」

私が声を上げ、


「逃がすかよ!」

「ええい、この妖怪変化め!」

隼人と神崎が手にした刀と木刀で打ちかかった。