恋口の切りかた

「何だそりゃ……!」

怒りで頭が真っ白になる。

「てめえら、刀丸が盗賊討ち取ってくれたおかげで助かったんじゃねえか!」

俺は村人たちを見回した。

「冗談じゃねえぞ! おい、誰でもいいから刀丸を家に入れてやれよ!」


しかし村人たちは忌まわしいものを見るかのような視線を刀丸に注ぐばかりで、動こうとする者はいない。


「──……レンちゃん……?」

弱々しい声に視線を戻すと、
刀丸は座りこんだまま、途方に暮れた顔で俺を見上げた。


「変なんだ……おとうもおかあも、おれを怖い目で見て……家に入れてくれないんだ……」

「────」


俺は言葉を返せなくて、

代わりに

着ていた綿入れを脱いで刀丸に着せ、えり巻きを刀丸の首に巻いた。