恋口の切りかた

湿り気を含んだ嫌な風を頬に感じながら、揺れる柳の枝を横目に川縁の道を進んで


暗闇に灯った明かりに近づき、

橙の提灯の明かりが照らし出したモノの正体を知って──


「ひっ」

私は悲鳴を上げた。




見覚えのある、「そば屋」の文字が目に入る。


川が流れる方とは反対側の道の端、
商家の壁を背にして、


灯りの中に、ぽつんと置かれた担ぎ屋台。


そして、そこにいる店主の顔は──




「狐の屋台か!?」




声を上げた円士郎に向かって、真っ白な狐の顔はあの夜と同じように裂けた口を吊り上げて凄まじい笑いを見せ、


コトリと、


蕎麦を差し出した。