【剣】
隼人の前で円士郎に抱きついてしまって、恥ずかしい思いをして、慌てて離れて──
鉢巻きで蝋燭を固定した額に青筋を浮かせながら、不機嫌そうに円士郎と言葉を交わす神崎帯刀を、私はややぼう然としながら眺めていた。
背が高く見えたのも、声が女の人に聞こえなかったのも、この人だったからとわかってしまえば怖くないのだけれど──
全然気づかなかった。
隼人の言葉ではないけれど、夜中にこんな格好であんな真似をしてるなんて、ちょっとアブナイ人だな、と私も思う。
別の意味で怖かった。
しばらく立ち止まって話し込んでいた私たちが再び歩き始め、隼人が、「じゃあ俺は見回りがあるんで」と言って立ち去ろうとした時のことだった。
川縁の道の先に、ポウと灯りが見えた。



