恋口の切りかた

「アッブねー野郎だな」

話を聞いた隼人はドン引きした表情で、蝋燭を生やした仏頂面の神崎に視線を送り、

「しっかしあんたら、のんきに肝試しかよ。こっちはあんたの命でこんな時間まで城下の見回りをやってるってのに」

俺に対してはそう毒づいた。


「そうそう、事件と言えばよ」

俺は神崎に尋ねた。

「人形斎についての調べはどうなってる? 鈴乃森座に出入りがあるって情報を教えたハズだが」

「町の人間はそいつを見かけてはいても、住処については知らん様子だし、貴様から聞いてすぐに芝居小屋を張らせたが、そっちもサッパリ網にかからん。

フン、貴様らがうかつに探りを入れて警戒されたんじゃないのか? ちょうど焼死事件が途切れたのもその頃からだしな」

神崎は忌々しそうに、ギロリと俺たちを睨んだ。


それは──確かに、一理あった。

俺も軽率な行動を後悔していたところだった。


「ふむ。しかしおかしな話だよな。姿は目撃されてるのに、これだけ時間をかけても住処一つ突き止められねえなんてな。
この城下で、あんたら町方の捜査の手を逃れられる場所ってのは、そんなに多いか?」

「勝手に捜査をかき回しておいて、何が言いたい」

神崎がこめかみをピクピク痙攣させる。

ううむ、これでまたうっぷんが蓄積されたかな。

「別に非難してるワケじゃねーよ。勘違いすんな」

神崎にそう笑いかけつつ、

今宵聞いた城下の七不思議を思い出す。


このとき俺には──ある考えが浮かんでいた。