恋口の切りかた

「──昨日の晩からずっとだ」

答えたのは遠巻きにした村人たちだった。

「ずっと、って──」

この真冬に
寒空の下、子供が外に一晩放っておかれたらどうなるか。


「なんで……?」


愕然(がくぜん)としながら見上げる俺に、村人たちが返してきた刀丸への評価は、俺の予想を大きく裏切っていた。


「なんでって、そりゃあなァ……」

「あんなの子供の仕業じゃねえよ」

「それを目の前で見たんだろ?」

「恐ろしくて家になんか入れられねえわなァ」


村人たちの顔に浮かんだ表情に、俺はぞっとする。


それは氷のように冷たい拒絶の色だった。


今、村人たちが刀丸に向ける目は、

刀丸と出会った頃に、俺が周囲の子供たちから向けられていたより

はるかに重たく暗い

おびえをふくんだ警戒の視線だった。