恋口の切りかた

盗賊に村が襲われた。


そしてその六人の盗賊を、刀丸が一人で皆殺しにした。




村人たちは、昨晩の出来事をそう教えてくれた。


俺と別れた後、

家に帰り着いた刀丸は、自分の弟が殺されているのを見つけ、そこにいた盗賊の一人をその場で斬り殺したらしい。

それから騒ぎを聞きつけて来た仲間の一人も斬り、村中にいた盗賊の仲間を次々と斬って回ったのだそうだ。

村人の死人は刀丸の弟を入れて四人、

盗賊団のほうは六人全員が殺されたわけだから、完全に返り討ちにされた形だ。


俺は、村の広場に積まれた盗賊団の死体に刺さった竹槍や鎌を思い出した。

恨(うら)みを込めて突き刺されたあれらは、

すでに刀丸によって致命傷を与えられていた盗賊の死体に、身内を殺された村人たちが後から加えた報復というところだろうか。